凍結された受精卵や精子は、どのように保存されているのでしょうか?|不妊教えてねっと|あなたの妊活・不妊治療を応援!

凍結された受精卵や精子は、どのように保存されているのでしょうか?

■-196℃の液体窒素で半永久的に保存可能

凍結させた精子や受精卵は-196℃の液体窒素につけて保存されています。以前はプログラムフリーザーという機器を使用して、少しずつ温度を下げて凍結させる緩慢凍結法がありましたが、現在は急速凍結法で一気に凍結するのが主流です。この方法で精子も受精卵も半永久的に保存可能だといわれています。

ただし、保存すると管理費用がかかりますし、倫理的な面から考えても、定期的に保存を希望するか否かの連絡は必ずするようにしたいですね。保存期間や連絡すべきタイミングはクリニックによって異なるとは思いますが、たとえば、二人目のお子さんのためにと受精卵(胚)を凍結しておいたけれど、忘れて放置してしまった...となってはクリニックも困ってしまいます。どんな事情があれ、連絡は欠かさずにしてください。

■大規模災害発生時の備えも重要

安全面については、当然ですが、しっかり管理することが大切ですし、日ごろは安心できるレベルで保存されていると思います。問題が生じるとすれば、大規模災害発生時などの非常時でしょう。東日本大震災のときには、「培養器が損壊した、転倒した」「胚や精子が消失した」というケースが報告されています。災害はいつ発生するかわかりませんから、備えが必要です。機器の転倒防止や停電に備えた自家発電の設置、凍結に欠かせない液体窒素のストックといったクリニック側の設備も欠かせませんね。

■個人クリニックならではのリスクも

個人クリニックで注意したいのは医師の死亡などにより急きょ、クリニックが閉院になる場合です。クリニックを閉院するにあたって凍結精子や凍結胚をどうするのか。何の対策もしていないと、医師の死亡後に混乱が生じてしまいます。

こうしたトラブルを防ぐために1つのクリニックではなく2つのクリニックで凍結胚や凍結精子などを管理する体制が理想的です。万一に備え、他院との連携が取れているのかどうかを、クリニックに確認しておくといいでしょう。

監修協力とくおかレディースクリニック 不妊カウンセラーが監修しています。