胚移植を5回しましたが妊娠しません。私は着床障害なのでしょうか? 着床障害について教えてください。
■良好胚を移植しても妊娠しないのが着床障害
着床障害は診断するのは難しいですね。着床障害とは良好胚を移植しても妊娠しないことをいいます。
日本は外国と違ってPGS(検査をして正常な胚のみを移植する方法)が認められていません。ですから、胚のグレード判定をして、その結果を参考に移植する胚を決定しています。胚のグレードは分割した割球の大きさが均一か否か、フラグメンテーションが有るか否かなどで判断されます。
良好胚だから必ず妊娠するというものではありませんが、移植する胚は良好胚から選びます。もし、胚移植をしても着床しない、初期の段階で流産したとなったら、胚に染色体異常があったのだろうと推測します。着床障害よりもまず移植した胚に問題があったのではと考えるのが一般的です。
■年齢や移植胚のグレードから、着床障害か否かの予測はつく
「胚移植を5回した」といっても、状況を細かくあげたら、いろいろなケースが考えられます。
まず、年齢です。現在、何歳なのか。20、30代と40代とでは状況が違ってきます。
また、どんな胚を移植したのかも重要な要素です。先にお伝えした胚のグレードですね。どのグレードの胚を移植したのか。
たとえば40歳以上の方が胚移植を5回して妊娠しなかったのなら、胚のグレードが悪かったのだろうと考えられます。年齢を重ねるに従って胚のグレードは悪くなることが多いですからね。
一方で20代の方が胚盤胞に成長した胚を移植したのに妊娠しないとなったら着床障害の可能性もあるでしょう。
■着床障害よりも移植胚に問題があるケースが多い
実際のところ、胚移植をしても妊娠しない場合でも着床障害が原因である確率は低いといわれます。むしろ、胚の質が低下していて着床しにくくなるケースが多いでしょう。
ですから、どんな場合に着床障害の検査をするべきかの判断はなかなか難しいですね。
複数回、胚移植をしても妊娠しないと着床障害と考える方が多いのですが、実際は胚のグレードが悪いケースが多い。胚が原因なら、それは着床障害ではありません。
■着床障害の検査方法は?
「胚移植をしたけれど妊娠しない」という状況から着床障害と診断するのはとても難しいのですが、最近、子宮内膜に炎症・感染があると着床しないことがあるといわれています。こうした着床障害の検査として挙げられるのが子宮内膜組織診です。
このほかに子宮に筋腫やポリープがないかを子宮鏡検査で確認したり、MRI検査で着床期の子宮の動きを確認する方法も採用している病院もあります。